アウトドア屋のライフログ

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自然の美しさと厳しさ、仕事の楽しさと辛さ

定休日二日目。
本来、五ヶ瀬町の山へお客様のお供として出かける予定でしたが、諸事情で中止となり渓谷へと出かけてまいりました。

毎年のことですが、3月-9月の山女魚釣りが解禁となっている期間は歩行距離が短く「山を歩く体力が落ちたなぁ」と思いつつも結局は渓谷へと出かけていくのであります。

雨上がりの渓谷で土砂崩れ

二日連続の渓谷、毎週のことですが二日目の朝は起きるのが辛い…
4:00前に起床し「まだ寝たい」と体が言っているような状態でボーっとしながら準備して出発しますが、この二日目の辛さは身体作りができていない証拠でございまして、今年の春-夏はどうも仕事でやらねばならないことが多く、トレーニング的なことが本当に不足しているのであります…

さて、今回はよく出かける谷。
昨日は数時間のようですが大雨が降っていたようで「少し生命感が出ているかな」と淡い期待を胸に出かけていきます。
車を停めて小一時間、林道を歩いて「寝たい」と言っている身体を起こしつつアブが付き纏う中、入渓地点へ。

少し離れた箇所から、見慣れた光景を何気に見ると違和感。それはドサっと崩れたての斜面。

土砂崩れが発生した斜面

土砂崩れが発生した斜面

いつも釣りの準備を行う場所が完全に土砂で埋まっており「こんなのを食らってしまったら確実にアウトだな」と、そう思わざるを得ない光景ですが、同時に最近は釣りを楽しむお客様が増えているため、こうしたリスクが存在することや対策もしっかりと伝えて行かなければなと、万が一のことを想像すると胸が痛くなる瞬間です。

しっかりとリスク対策を

登山やハイキング、渓流釣りやクライミングと「綺麗」「やってみたい」「楽しそう」と言われることが多い遊びではありますが、山も海も自然相手の遊びには少なからずリスクも付き物であり「雨でも大丈夫だろう」「これくらい大丈夫」そんな油断が事故の元になることも。
ましてや、事故のリスクすら知らないということは、更に危険を伴うこともあります。

僕は道具を選ぶにも「BetterよりBest」というのが基本的な考え方で、「これくらいで十分」というよりも「これがベストだ」というものを探そうと、常に心がけています。

さて、土砂崩れの対策でありますが、最近は「ここが崩れるなんて」と地元の人が言うような場所が崩れたりすることもあり、年々予測が難しくなっているように感じますが、大雨が続いて地盤が緩んでいる状況や、渇水後の急激な雨、ダラダラと雨が降り続く時や、その前後期間など、発生しやすい条件も存在します。
僕が山を歩いていて一度土砂崩れに巻かれてしまった時は、大雨後の快晴の日で「まぁ大丈夫だろう」という油断が原因でございました。

何より大切な対策として、山を歩いていても渓谷を歩いていても、リスクを知り、常に頭の片隅でイメージしておくことが大切だと思っています。
例えば渓谷を歩いている場合、土砂崩れ・落石・浮石・鉄砲水・滑落・転倒・道迷い等、あげればキリがありませんが、常に異変を察知しながら楽しむ癖をつけることは、非常に大切です(そのうち慣れます)。
また地形図や実際に現場で状況を確認して、そのリスクを察知できるよう意識することも大切です。

単独遡行を出来るだけ避ける、目的地を家族や知人に伝えておく。そんなことも当然大切で、ベテランの方々ほど、こうした基本的な対策をしっかり行われています。
余談ですが僕らが”兄貴”と慕う方も、店の案内人も、しっかりと行き先や、万が一帰宅しなかった場合の対応などを常に家族が把握されているという、素晴らしく本当に大切なことです。

同行者がいる場合は、同行者の位置を常に把握しておかねばなりませんし「万が一同行者が流されたら、どこに飛び込んで云々」と自然とイメージしておく習慣をつけておくのもいざという時に役立ちます。(実際に飛び込んで小滝に落ちたことがありますので…)

山や山間部の事故の報道を目にする度に、胸が痛くなりますが、何より安全にはベストな対策を行いつつ楽しみましょう。
というこの日に、僕はあわや怪我という事態が起きるのですが…汗

朝の渓谷美の中で釣り

初っ端から重い話でございましたが、やっぱり自然の中で眺める風景は非常に美しいもので、土砂崩れを眺めた緊張感を癒してくれる朝の日差し。

日の差し込む渓谷

日の差し込む渓谷

前日の雨でツヤツヤした景観の中に差し込む美しい日差しを眺めながら、ホッと一息。
こうした美しい風景の中で釣りをするという、ある種の自己満足感がまた魅力的なのだと思うのであります。

写真では伝わりませんが、「美しいな」と息を飲む風景、周囲の音、何とも表現し難い時間です。

前日の雨で、気持ち水が増えた渓谷からは適度に良型の山女魚。釣り損じも相変わらずちょくちょく存在しますが、キャッチした山女魚はしばし眺めて綺麗な川へ帰します。

良型山女魚

良型の山女魚

男前山女魚

男前山女魚

今回は男前に恵まれます

今回は男前に恵まれます

朝の日差しを受けながら、良い景色を眺めて良い山女魚を釣る時間は、やっぱり気持ちいいものです。
土砂崩れや、様々なリスクはどうしても自然相手の遊びである以上ゼロには出来ませんが、様々な美しさを楽しむことができるのは、本当に魅力的なことです。

これもまた仕事

今回もイワタバコの見頃を迎えている渓谷。土砂崩れから感じる怖さもあれば、こうした渓谷に咲く美しさや、渓谷だから出会える野鳥の多さに渓流魚の美しさと、自然の厳しさもあれば、また美しさも感じます。

イワタバコ

イワタバコ

遡行中に写真を撮影することが多いので、遡行ペースは非常にゆっくりでございますが、それもまた仕事。
綺麗だなという楽しみも感じていただきつつも、そこで楽しむためのリスク対策や、危険な面、そしてマナーをいかにしっかりと伝えていくかは、いつも頭を抱えながら考えておりまして、最近は釣りをしながらも、そんなことばかりが頭を巡っている訳でございます…

そして、最近は釣りを嗜む方も増えまして、今シーズンは無理だけど来シーズンからという方も多くなり、僕らはお客様に同行して楽しみ方を教えつつも、安全管理やマナーを伝えるのも仕事。だから僕も当然ながら、安全面に考慮しつつ、スタッフも意のままに魚に出会えるよう試行錯誤の繰り返しです。

山女魚探し中

山女魚探し中

谷につき入渓し、川を観察し山女魚のいる場所を想像して、意のままに道具を操作して、綺麗な山女魚をキャッチして、安全に遡行して帰宅する。
つき詰めれば終わりのない所作の改善を、お客様にお伝えしながら楽しんでいただけるようになるためには、それを僕らが説明しながらお供しなければならないため、山を歩くにも渓谷で楽しむにも、常に隣にお客様をイメージして行動します。

不器用ながら写真を撮影するのも、それを見てくださるお客様の「美しいなぁ」「やってみたいなぁ」という声を想像しながら、撮影する訳でございまして「それが楽しいのか、辛いのか」なんて考えるとキリがないので、ただただ、ごく稀に話してくださる感動の声を楽しみに働くのであります…笑

そしてそれをサポートして下さる様々なベテランの方々がいらっしゃることが、本当にありがたい限りです。
なので僕らは喜んで下さっているお客様の風景もまた、報告としてベテランの方々に届ける訳でございまして、常時僕はそんなことを考えながら自然の中にいるので、収穫無しということがありません笑

前述したように最近は「釣りをしたい」という方が多いため、僕もスタッフも”釣り方”という難題をお伝えせねばならず、定休日はある種のトレーニングでございます。

あわや怪我と、仕事の楽しみ

さて、定休日2日目のこの日は高巻きの最後にズルっと行ってしまい、身長ほどの高さから店主落下…尻を強打してしまい湿布を貼って仕事中です…
「あぁ、滑るだろうなぁ、多分落ちるよなぁ」と思いながら案の定落下してしまったので、横着はダメだなと反省です。

尻を強打して痛みを我慢しながら遡行していると「何やってんだか」と思うこともありますが、そんな日でも合間合間に動植物と戯れたりするもので、デカい蛙を眺めながら仕事の楽しみを満喫するのであります。

ヒキガエルと戯れ中

ヒキガエルと戯れ中(スタッフ撮影)

定休日のフィールドワークも終了、また次週まで店仕事を頑張ってまいります。

安全・快適に自然を楽しんでまいりましょう。

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Shogo Nakano

Shogo Nakano

PORTAL 店主

宮崎県のアウトドア屋「PORTAL」の店主です。 山歩き、渓流釣りをはじめ、のんびり色々な自然の楽しみ方を満喫しながら、色々な方と一緒に遊べるのを楽しみにしています。

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