昨日に引き続きパッとしない天気の今日。
早朝から渓谷に出かけようと、早い時間に鳴る目覚まし時計を止め起き上がりますが、外は雷…「こりゃダメだ」とそのまま二度寝。再度目を覚ませば雨は上がっており、お客様の案内も入っていない定休日なので、下見を目的に出かけてまいりました。
結局土砂降りに遭遇し、写真をほぼ撮影しておらず、過去の写真も交えつつ…汗
下見山行・下見遡行
今日は下見を目的に、とある渓谷へと出かけてまいりましたが、僕らはお客様のお供として尾根道や谷筋を歩くことの多い仕事柄、”下見”というものが欠かせないものです。
時にお客様と一緒に「初めての場所」というものを感動しながら楽しむこともありますが、ほとんどの場合は下見を行った場所へ、お客様と出かけます。
下見に出かけたからと言って、お客様と一緒に出かけるかと言えば決してそうではなく、下見の結果「ボツ」だということも多々ございます。(印象では半分程度はボツな気もしますが…)

下見の一コマ
ボツになる理由は様々で「危なくてリスクが高い」というのは、分かりやすい理由だと思いますが、「危ない」という事以外にも、見どころがイマイチという場合や、ヤマビルが多すぎるということだったり、整備されてなさすぎるという場合、希少動物が居るという場合など、様々な理由があります。
ボツと言っても、それは季節によっては快適だったり見どころがあったりする訳で、一度ボツとなった場所も季節を変えて再度下見に出かけたりと、そんな事も度々。
スタッフはよく下見に駆り出されるので、時に「落ちたら助けてよ!」であったり、「気合で登れ」であったりと、無理難題を強いられることもあります…笑
さらに言えば、花の下見に出かけるとするならば花の季節はお客様と歩くので、基本的に下見の季節は花もなく、花芽や樹木を探すことになるのです。

花の山への下見の一コマ
上の写真などは明らかですが、花が綺麗な山域の下見ですが、花がない殺風景な下見です…
僕らの仕事の影の努力?というものであります笑
下見場所の選定
下見に出かける場所としては、地形図や地質図で”面白そうな場所”を想像して出かけることが多いのですが、最近ではお客様から「あそこは良い」と言われた場所なども増えてきました。
例えば山歩きを楽しむお客様からは「あそこは展望が良くて感動する」と伺ったり、釣りを楽しむ方からは「あそこは初心者でも釣れる」と伺ったり。
それをそのまま鵜呑みにして出かけて「展望は良いけど危ない」というのも仕事柄ダメですし、「魚は釣れるが景観が全く綺麗じゃない」というのも、人によっては喜んでいただけないことも。
Aさんは好きだけど、Bさんはこういうの好きじゃないと、そんなこともありますが、何よりお客様にとって「何が理想なんだろう」なんて、答えのないものを色々と考えたり想像したりしながら下見を行ってチェックするのであります。
こうした影の努力においても、僕が信頼してお任せできる案内人が、いつもご一緒させていただいている案内人な訳ですが、それはまた別の機会に。
下見の目的
下見に出かける際、僕らは「◯◯さんでも歩けそう」「これは□□さんには危ないな」「ここは△△さんが好きそうだなぁ」と、基本的に誰かの顔を思い浮かべならキョロキョロして歩きます。
スタッフもよく「ここは◯◯さんが好きそう」などと、よく呟いてます。
下見の際は
安全か否かというのは当然ですが
例えばトイレ問題
花が好きな人が喜ぶ植生があるか
飛び越えるのが苦手なあの人でも歩けるか
どんな動物が居るんだろう
この岩は何岩だ
入って問題のない場所か(マナー問題)
地域の人の愛情が感じられる場所か
帰路にお土産や食事など、地域に立ち寄る場所があるか
などなど、色々な方の顔を思い浮かべながら「喜んで貰えたらいいな」と想像して歩きます。
例えば釣りを目的として考えた場合、「魚は居るけど、入ったら怒られる場所」なんて場所を案内するのは当然ダメな訳でありまして、一般的にOKなのか等と確認することも存在します。
同時にロープやスリングといった補助道具など、僕らが何を持っておくべきか等ということも下見の際に確認します。
多様なお客様の目的
お客様が自然を楽しむ目的も非常に多様で、花が好きな人もいれば、動物が好きな人、野鳥が好きな人など、色々な趣味嗜好があるわけで、そうした方々と自然の中を歩いていれば必然的に色々な自然を知ることができます。僕はそこまで花に詳しくないため、お客様に花のことを聞くケースも頻繁にあります。
また、僕らが得意としているかは別として、お客様それぞれに様々な目的が存在します。
- 大きな魚を釣ってSNSで自慢したい
- SNS映えする場所にいる自分を撮ってもらって投稿したい
- お洒落な僕(私)をカッコよく撮ってほしい
- 大自然の中で楽しむ自分を撮影してほしい
SNSを使っている人は多く、こうした目的の方も多いため、映えるかどうかは別として僕らは一生懸命写真を撮ることもあり、そうした写真を自慢げに使っていただいた時は少し嬉しかったりするのであります。
また、目的とは別に苦手分野もあるもので、高い場所・蛇・ヤマビル・虫・滑る岩と、人それぞれに苦手なものもあり、下見の際はあれやこれやと、キョロキョロしています。
雨の下見遡行
なんとも長い前置きでございますが、今日の下見遡行は、長らく入っていない谷の、入ったことのない区間。
現地に到着して地元のお店で遊漁券を買い、車を停めて問題ない場所などを含めて現地の方と色々と話をすると、この場所に人が訪れてくれることを喜んでくださるんだなぁと実感。
遡行中に雨が降りそうな天気のため、短い区間にしようと予め地形図でチェックしていた区間へ。
準備をしておりましたら、パンツ一枚のおじ様と出会い「今から釣りか?まだ水が引いてないから気をつけてよ」という言葉と、しばしの談笑を楽しみ、魚を放流している区間なども丁寧に教えてくださいました。

増水しているものの、遡行は可
さて、入渓したものの、なんと地図忘れ+携帯忘れ。
おまけに長話をしてしまったせいで、すぐに雨が降りそうな天気…
1km程度の区間なので、とりあえず安全区間までは遡行のみと、竿を畳んで遡行します。
花、動物
単独で遡行するので、とりあえず安全を心がけつつ、花やイモリを見つけてとりあえず写真を。

ネジバナ
花があれば、あの人は楽しんでもらえるな。と思っていたり

アカハライモリ
みんなでアカハライモリの写真を撮るのも、毎回面白いものだと振り返ってみたり、岩質があそこと同じだから、同じ生き物がたくさん居るのかなと想像してみたり。
結局は水が多くて、ひとり腰まで浸かって慎重に歩き、現在位置が判断しにくく忘れものに肩を落としたり…

昨日に引き続き増水中
所々で竿を出すも、カワムツばかりで「ここでもかぁ」と笑ったり。
結局土砂降り…
「多分半分は歩いたかな」と思ったほどで、結局土砂降り、同時にヤマビル祭り的な光景….
「あぁ、これはあの人はダメなやつだ」と、とある人物の顔を思い浮かべて笑いつつ、空がゴロゴロと鳴り始めたので、適度に竿を出しつつ急足で遡行します。
脱渓の目印にしていたものが見えたので、ようやく少しジックリと釣りをしますが、足元はヤマビルがダンスを…
「まぁ、今回はこの辺で」とヤマビルから逃げるように脱渓して戻っておりましたら、再びパンツ一枚のおじ様と再会。
雨の中、僕とパンツ一枚のおじ様で、少し魚の話を楽しみ「また遊びにきてよ」と手を振られながら車に戻るのでありました。
注意:「パンツ一枚」なのは暑さの中、畑の作業をされているからです。
歓迎されるのは嬉しいものです
今回はほとんどの区間を、いそいそと歩いていたので釣果はさておき「また遊びにきてね」とそうしてお声がけくださるのは、僕らにとっては本当に嬉しいことで、次はまた違う区間にでも足を伸ばしてみようかと思う下見遡行でありました。
帰りの運転で、ハンドルがヌルヌルするなと思っていたら、ハンドルにヤマビル…
「あぁ、これはやっぱり、あの御方は苦手だろうな」と思いながら運転する店主でした笑
釣りに出かけるとなれば、当然釣れる方が良いに越したことはありませんが、現地の方に迎えていただいたり、話をしたり、谷で色々な動植物を見たり、日頃山を歩いて色々な山間部に出かけている店のCOMMUNITYの方々は、色々な地域のことを知っており、ある種「目が肥えてるなぁ」と思うものです。
だって、釣れること以外にもたくさんの魅力を知っている訳ですから。
店のWEBサイトには書かない、下見物語でございました。
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お客様が楽しむ裏には、スタッフや案内人の下見という、好き嫌い、得意苦手関係ない山行の時間が存在するのであります。
僕の場合は下見は下見で、ヤマビルが居ようと楽しむように心がけていますが…笑
次の下見も楽しみに、また1週間店の仕事を頑張っておきます。
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