店にいらっしゃる渓流釣りを楽しまれるお客様と店主の会話からも「あと2ヶ月で終わりますね」という話題も出てくる近頃。今シーズンはフライフィッシングを始め苦戦中の私。可愛い山女魚になかなか出会えず、若干凹んでいます笑。「次の定休日は魚影の濃い谷へ行ってみよう」と誘ってくれる店主の気遣い。期待に応えられるよう、自分自身ももっと楽しめるよう「今度こそ」と気持ちをリセットして2週間ぶりの渓流釣りへ出かけていくのであります。
山女魚に会いたい
初めて訪れたとある深い谷。水がとても綺麗で「魚影が濃い」と聞くと、期待が高まります。…いやいや、「魚影が濃い」と言ってもここは釣り堀ではないのだから、毛鉤を落とせば出てくるという訳ではない。ここは自分の技術次第と謙虚な気持ちと「もうそろそろ山女魚に会わせておくれ」という気持ち(やっぱり邪心?)で、釣り上がっていきます。

光が差し込むと、なおさら美しい
早々に、良型の山女魚を釣った店主。際先の良いスタート。私はというと、出てくるのは「アブラメ」というチビッコ渓魚。たぶん、渓流釣りを始めた頃だったら「何かが釣れた」だけで嬉しかったはず。山女魚が釣れるようになると「アブラメ」はそういった存在ではなくなり、会いたいのは山女魚。会いたいのは君ではないの。ごめんなさい、アブラメ君。この魚は流れの緩い場所に居るようで=私は緩い場所にしか毛鉤を落とせていないということで、今日はこれを意識しながらのキャスティングです。店主と交互に釣り上がり、視界に店主が入ると私がいつも憧れる光景がこちら。

「釣れている」光景に憧れを…笑
店主が言うように、魚影が濃い谷のようです。
見上げるとそこに居たのは兄貴
釣り上がること約4時間。店主を追いかけ遡行していると、なんとなく人の気配。先行者? 後行者? 渓流ちかくの斜面に立っていたのは、
なんと店によくお越しくださる、お馴染みの渓流釣りのベテランの方。「えー!?」と私が驚いていると、「中野くんと武田くんを冷やかしに来たんだって!」と笑っています。渓谷の情報交換や自然や動植物の知識など詳しく、いつもお話を伺うのが楽しい兄貴的存在の方です。(ここでは敬意を込めて”兄貴”と呼ばせていただきます)

店主を驚かす兄貴
渓流の音で私が驚いた声は店主には届いておらず、そーっと忍足で店主の背後に近づく兄貴。肩を叩かれ、店主も相当驚いておりました。なんて素敵なサプライズ笑 定休日前に店主が兄貴にこの谷に行くかもと話していて、車があったのを見て追いかけてきてくれたとのことです。ここからは3人で歩きます。
緊張しながら
ベテラン兄貴との遡行。岩から岩へピョンピョンと飛び移り、私が遡行に難儀していると「こうゆう所歩いたらいいよ」とアドバイスを都度頂き、先回りして「露払いしておりました笑」と蜘蛛の巣を払ってくれているという高待遇を頂きながら。私のキャスティングを見て「あの位置に立って、そこの流れに毛鉤を流したらいいよ」と私の苦手なポイントを把握しつつ、それを活かせそうな作戦を練ってくださいます。

ベテランの方をお迎えしていつもと違った雰囲気
「ここは私も良いところを見せたい」…といっても「良いところ」を見せる腕前は私は持ち合わせておらず、「ヘマしたくない」という一心でキャスティング。兄貴と店主に見守られ、合わせ切れず逃した魚と共に「あぁぁぁ!」という二人の残念がる声と「釣ってくれ」と願われているような視線をピシピシと背中に受けながら、緊張の釣行。スタートしてから、なんと7時間後。やっと「その時」が訪れてくれたのです。

13:58 やっと「その時」が訪れました
取り込みもまだ慣れず、モチャモチャとしてテンパる私。「わぁー、魚見とけって!」「引っ張るのそこじゃない!」「岩に潜られたか!?」と、大騒ぎです笑、 取り込みでひと騒動しましたが「よぉぉぉし!やった!良いサイズ!」と喜んでくれた(ホッとしてくれた)兄貴と店主に感謝です。同行していただく兄貴や店主に気を遣わせておりましたが、やっとホッとさせることが出来て、私も少し緊張感から開放されたのでした。

山女魚にも兄貴にも店主にも感謝を込めて「アリガトウ」とリリースです。(撮影 : 店主)
「30年以上やってるもん」
そこからは気持ちも少し軽やかになり、兄貴や店主が釣っている様子を眺め、景色も楽しみながら釣り上がります。それにしても、ベテラン兄貴、次々にポンポンと山女魚を出していきます。

尊敬の意を込めて店主も「よぉー出すわ」と感嘆の声
ポイントごとに必ず、もれなく山女魚が出てくる光景に「すごいなー、魔法使いみたいだな」と(拙い表現ですが)、そんなことを思いながら
驚いていると「30年以上やってるもん」と兄貴。この日は渓流釣りを楽しむベテラン兄貴の貫禄とテクニックを見て楽しませて頂いたのでした。
長く楽しめる趣味
私がこれから「○年以上やってるもん」と言えそうな趣味はあるのかと考えてみると、「山歩き」に「バックカントリー」。この二つは大好きなことで、これナシでは居られないなと思う時があります。体力に応じて、場所やレベルを選べばどちらも歳を重ねてもできる趣味。

毎年7月初旬にこの山に登り、この景色を眺めて「ただいまー!」と言っていた山。
その時間・その季節にそこに自分の脚で歩いて行かないと見れない景色や空気を楽しみ、仲間たちとケラケラと笑い合う。その時々の光景や仲間たちの顔やその時の出来事が思い浮かぶような、思い出が沢山詰まった特別な場所になっていく。自分の体力や成長過程も(逆に衰え具合も)わかり、今まで「キツイ」と思っていたことが、クリアできたことの喜びや、行きたい場所へ自分のスキルが見合わなければ、見合うよう経験値を上げるなど、自分と向き合うことができるような気がするこの趣味は生涯、楽しんでいきたいと思っています。

夏山ルートと違ったルート登って滑り降りるバックカントリー。冬は厳しいけれど、夏と違った素晴らしい景色が広がっています。
渓流釣りは「禁漁期間」があり、出来る期間が限られています。バックカントリーも山に雪がある期間にしか出来ない季節限定のアクティビティ。その期間を安全に楽しむために、夏の間は体力が落ちないようトレーニングも兼ねて夏山に登る。1年間の間に自分が楽しむアクティビティのサイクルが決まってきて、同じ季節にまたその景色に出会えることは嬉しいものです。そのためには健康で居ないとと、自分の体調管理も意識的に気にするわけです。これから先、「ずっと楽しんでいる趣味」として、渓流釣りもプラスしていけたらなと思っています。
記憶に残る場所が増えていく喜び
久しぶりに一日中たっぷりと時間を使っての釣行、深い谷から上がると気温が高くここから車を停めている場所まで、林道歩きが続きます。脱渓する前にクールダウンと水にドボンと使って冷えた身体もすぐに汗だくに。

クールダウン中の店主と「よぉ、入るわ」と、見守る兄貴
林道を歩き切った後に、兄貴が用意してくださった車内のクーラーボックスから出てきた冷えたお茶の美味しいこと! こんなふうに長年、楽しまれているんだなとここでも長年の経験を得た”楽しみ方”に、さすが!と感心したのであります。
緊張感ありの釣行でしたが、普段 店でお会いしている時とまた違った一面を覗かせていただき、そしてベテランの貫禄も楽しませていただき本当にありがとうございました。景色や山女魚の色で覚えている谷、お客さまが初めて山女魚を釣った谷など、思い出に残る谷がいろいろと出来てきました。この谷は兄貴とキンキンに冷えた美味しいお茶の味の思い出が色濃く残る谷となりそうです。
素敵な山女魚〜✨何度かご一緒させて頂いて、難しいフライに挑戦している姿を見てるからこそ、勝手に私事のように嬉しいです!!
(釣れた時のモチャモチャも目に浮かぶようです笑)
兄貴さんカッコイイですね!私も『30年以上やってるもん』ってスッと言えるように、ずっと自然と繋がってたいです〜
またご一緒させてください!
Mikiさん
素敵な山女魚が出てきてくれました!
(なにを隠そう2ヶ月ぶり…)
コミュニティの中ではMikiさんが一番、
私の踏んだり蹴ったりのフライ奮闘の様子を見ていると思うので
モチャモチャ具合も想像に容易いと思います笑
ベテラン兄貴、カッコ良かったですよ!
なんだか山女魚職人のようでした。
いろんなことに挑戦しているMikiさん、
「30年以上やってるもん」と、
この先に言っているアクティビティはなんでしょうね、楽しみですね!
こちらこそ、またご一緒できる日を
楽しみにしています!
コメント、ありがとうございます。
兄貴かwww
お騒がせいたしましたねwww
30年…
ワタシは長さよりも深さだと思いますよ。
短くても深くのめり込む人居ますからね。
てか、ワタシは深くて長いけどねwww
kaku兄貴さま!
図々しくも”兄貴”と呼ばせていただきました!
”深く長く”
なるほど…
30年、深く長くずっと続けられるのって
それだけ虜にする楽しさを知っているということですね。深い…。
翌日、別の谷(いつもの)に入りましたが、
渓流から見上げて林道が見えると
また、兄貴が居るのでは!?と
キョロキョロしてしまいましたよー!笑
楽しいサプライズをありがとうございました!